帰宅願望のある方への対応に困っている。上手な声かけや対応の仕方が知りたい
新人介護士で、帰宅願望にうまく対応できない。でも施設は人手不足だし…ひとりで対応できる方法を身につけたい
こんなお悩みをお持ちの新人介護士さんや、介護職の方に向けた記事です。
この記事を読むと分かることは、
どの声かけや対応の方法も、今日から試せるものばかりです(新人さんでも簡単!)
帰宅願望のある方にうまく接することができるようになると、
反対に、認知症の方の帰宅願望への対応の仕方を知らなかったり、間違った声かけをしていると、
こんなことにならないように、記事を最後まで読んでみてください。
認知症の方の帰宅願望にうまく対応できる、ステキな介護士を目指せますよ。(認知症以外の方にも応用できます)
この記事を書いているのはこんな人。
帰宅願望の原因と対応の仕方
帰りたがる原因としては、
原因は何であれ、帰るのを諦めてくれたらいいんだけど……
いえいえ! まずは帰りたい原因・理由をお聞きすることからスタート。
「介護士さんが自分の話を聞いてくれている」と思って、安心していただけるからです。
帰宅願望の原因や理由に合わせた対応・声かけの具体例を見ていきましょう。
帰りたいと訴える方へ最初の声かけ
帰宅願望がある方に、介護士さんはまず「どうして帰りたいのですか?」と聞くと良いです。
なぜなら、帰りたいと訴える人は様々な不安を抱えていることが多いからです。
帰りたい原因・理由をじっくりお聞きした上で
「だから不安になって帰ろうと思われたんですね」
「それが不安だったんですね。よく話してくださいました」
などと共感の声かけをすると、“分かってもらえた”“この介護士さんは自分の話を聞いてくれる”と安心されます。
【経験談】正しいことをいうのが正解ではない!?
例えば、施設を利用するお金を払っていないのに……と不安がられる方に
「大丈夫ですから!」
「引き落としになってますんで!」
「娘さんが払ってるから安心して!」
など、頭ごなしに伝えても“契約した覚えはないのにおかしい”と不審がられます。
娘さんが払っていることが、いくら正しい情報でも「娘が払うはずがない。お金をとりに帰る!」と無限ループに陥っているのを見たこともあります。
正しい情報だからといって、必ずしも納得していただけるわけではないのです。
大事なのはじっくりお話を聞き、不安に寄り添うことです。
本人さんなりの理由をしっかり聞いたうえ、落ち着いたトーンで「実は、ここの代金は家族の方が払ってくださってるんですよ」などと伝える方が分かっていただけることが多かったです。(聞く:声かけ=8:2くらいの感じです)
家にいるのに「家に帰る」という方への対応
自宅にいるのに「家に帰る」といって出て行こうとされます
認知症で、介護施設で暮らしていることが分からなくなったみたいで「帰りたい」と言われます
こんな場合は、本人さんが思い入れのある部屋や物品を見せて「ここがお家ですよ」と確認してもらうと良いです。部屋の入り口などに書いてある、その方のお名前を見てもらうのも良いですよ。
物の位置が変わっていないかチェック!
家具や物品の位置がちがい、見慣れた光景ではなくなっているため「ここはウチじゃない」と思っているのかも。そんな時は物の位置を元に戻してみましょう。
断片的に「ちょっと見覚えあるかも」と思い出したり、しばらくは混乱されたりするかもしれません。急かさず、徐々に「ここが今の家だわ」と受け入れていくことに付き合って差し上げることが大事です。
また、自宅にいるのに「家に帰る」と言われる場合は、昔住んでいた家や故郷に帰ろうとされているのかも。
「どちらの生まれなんですか?」「私もその地方にゆかりがあるんです!」などと共通点を探し、訴えを聞きつつも興味を少しずつそらしていくと良いですよ。
夕方になると帰宅願望を訴える方への対応
夕方になると、決まって「帰りたい」と訴える人がいます
これは、夕暮れ症候群といいます。夕方には家に帰るという習慣があるため、夕方に帰宅願望が強くなりがちです。
対応は、まず理由を聞いてみることからスタート!
こんな理由を話されることが多いですよ。
まず「どうして帰りたいのですか」と理由をお聞きし、じっくりお話を聞いた上で少しずつ興味をそらすと良いです。
例えば、
ただし、どのパターンでも必ず「帰宅願望について、じっくりお話を聞いてから」です。帰りたい理由も聞かずに「誕生日はいつですか?」などと聞かれたら「この介護士さんは私の話を聞いてくれない!」と認識されてしまい、逆効果です。
また、デイサービスなどでは夕方の時間帯の転倒事故に注意!
「帰りたい」と思っている方が、他の人が車に乗り込むのを見てフラッと立ち歩かれたりしがちです。見守りを徹底しましょう!
施設の環境が落ち着かないから帰りたい
昼食後や、夕方からのスタッフへの引き継ぎ時など、ドタバタしている時に限って「帰りたい」と言い出す方がおられます
職員が慌ただしくしていると「ここにいていいのかな?邪魔しないように帰らなきゃ」と思われるみたいです。また、食後の帰宅願望は、何かが一段落した良きタイミングだから帰ろうとされるみたい。
食後の帰宅願望に対しては「まだいていいんですよ」と教えて差し上げたり、「〇〇さんにちょうど手伝ってもらいたいことがある」と、何か仕事を頼んでみるのも良いです。
帰宅願望は問題行動なのか?
何度説明しても「帰りたい」って……問題行動を起こさないでほしい!
こんな風に感じたり、ストレスに思っていませんか?
実は、帰宅願望は「問題行動」ではないのです。
よくわからない所に急に連れてこられた、知らない人ばかりで居場所がない……。
誰だってそんな場所は不安で、「早く帰りたい」と思いますよね。認知症のあるなしに関わらず、です。
だから「帰らせて!」と思うことは自然であり、問題行動ではないのです。
毎日過ごしている場所でも、認知症の人にとっては「今日が初めて」と感じています。
毎日顔を合わせていても「見たことのない顔」に見えています。
何回言っても……という気持ちになるのは分かるし、辛いですが、イライラしてもどうにもならないと気付けたのではないでしょうか。
帰宅願望への上手な対応4選
私が実際にやってみた、帰宅願望のある方への対応や声かけをご紹介します。
どれも上手くいったことのあるものばかりなので、一発OKとはならなくても、きっとどれかはハマるものに出会えるはずです。
いずれの対応・声かけでも、まず帰りたい理由をじっくりお聞きすることからスタートです。
帰宅願望の方へ、やってはいけない対応
帰宅を諦めてくれるなら、声かけなんて何でも良いんじゃないの?
帰宅を諦めてくれたら何を言っても良いわけではありません。
力ずくで止める・暴力はもってのほかですが、職員の対応が良くないとこんなことに繋がります。
こんな対応・声かけは絶対ダメ!
間違った対応で帰宅願望が余計に強くなるということは、その方の不安を増強させているということです。
さらに自分たち職員も、もっと対応に追われて大変になります。
イライラせず、その方の帰りたい理由に寄り添うことが大事です。
まとめ
帰宅願望はさまざまな不安によって起こる場合が多いので、まずは帰りたい原因・理由をしっかりとお聞きする姿勢が大事です!
帰りたい原因・理由に寄り添い、
「だから不安になって帰ろうと思われたんですね」
「それが不安だったんですね。よく話してくださいました」
などと共感の声かけをすると、“この介護士さんは自分の話を聞いてくれる”と安心されます。
家にいるのに「家に帰る」と言われる方には
夕方になると帰宅したがることを夕暮れ症候群と表現します。
施設内が慌ただしい雰囲気だと帰宅願望が出現しやすいです。
まだまだある!帰宅願望への対応・声かけ・工夫
絶対NG!間違った対応・悪い声かけ
間違った対応が不安を増強させ、帰宅願望が余計に強くなることもあります。
余計に対応に追われて、自分たち職員の首をしめることにもなります。
反対に、「この対応が良かった」「〇〇さんはこんな声かけに安心されるみたい」など、日頃から情報をスタッフ同士で共有すると連携が高まりますよ!
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